経営者が企業会計による利益をもとに税金を計算する確定申告・納税、毎月の給与・役員報酬の計算を基にした源泉所得税の徴収・納付や年末調整が主としておこなう税務となります。
事業に関係する税法は、所得税法、法人税法、消費税法、租税特別措置法、事業税・住民税などの地方税関係法令が主なものです。以下では具体的な税務の内容やその実施方法などを概要を解説いたします。
税務署とのトラブルが生じる原因とは
新聞上や経営者のかたの周囲で、税務調査により税額間違いの指摘を受けて税金を追徴されたと見聞きすることがあります。税務調査で受けるミスの指摘は、概ね下記の会計にまつわる要因から生じています。
- 当期の売り上げを翌期の売り上げとして計上している
- 棚卸資産を過少に評価・計上し、利益を圧縮
- 役員の定期同額給与や事前確定届出給与に該当しない部分の経費計上
- 使途秘匿金(金銭支出先の氏名・名称、住所・所在地、支出事由の帳簿への不記載)
法人税法に基づく確定申告が必要な方とその期限
法人税法では次の方々につき、申告・納税義務を課しています
1. 申告・納税義務者と課税所得範囲
(1)普通法人、医療法人(すべての所得)
(2)非営利型の一般社団、公益社団法人・公益財団法人・宗教法人・NPO法人、社会福祉法人
(収益事業による所得)
(3)協同組合等(すべての所得に低率課税)
(4)同業者団体などの人格のない社団(収益事業による所得)
(5)外国法人の日本支社など(日本国内原所得)
事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に、申告書類の提出と納税
※前事業年度の法人税額が20万円を超えるときは、当期開始の日から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に中間申告・納税(前払法人税)が必要となります。
所得税法に基づく確定申告が必要な方とその期限
所得税法では次に該当する個人の方々につき、申告・納税義務を課しています
1. 申告・納税義務者と課税所得範囲
(1)その年1/1~12/31までの事業その他による所得の合計額(源泉分離課税の利子所得・配当所得等を除く)がすべての所得控除額の合計額を超え、かつ、その超える金額に対する所得税額が配当控除額と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人
※上記計算で納税額が出る場合でも、控除しきれなかった外国税額控除の額や源泉所得税額または予納税額があるときは、確定申告書の提出は不要です
(2)給与等の収入金額が、2,000万円を超える人
(3)同族会社の役員及びその親族等で、その法人から給与等以外に貸付金の利子や地代家賃等の支払を受けている人
(4)源泉徴収をされない給与を受けた人
(5)その年1/1~12/31までの事業その他による所得について、雑損控除、医療費控除、寄付金控除または住宅取得等特別控除の適用を受ける人
(6)1ヶ所から給与を受けている場合で、退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
(7)2ヶ所から給与を受けている場合で、従たる給与の収入金額と副業などその他の所得との合計額が20万円を超える人、または給与の収入金額の合計額が配偶者控除・社会保険料控除などの各控除額の合計額に150万円を加算した金額を超えた金額で、かつ給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人 , etc.
翌年3月15日までに申告書類の提出と納税(振替納税は4月中旬頃に口座引き落としされます)
※前年の事業などによる所得税額が15万円を超えるときは、税務署からの通知に基づき7月と11月に予定納税(前払所得税・事業主貸)が必要となります。
消費税法に基づく確定申告が必要な方とその期限
1. 申告・納税義務者と課税範囲
次のいずれかに該当するときに消費税の申告・納税義務が生じます。
(1)2期前の事業年度の課税売上高が1,000万円を超える法人・個人事業者
(2)特定期間(前事業年度の前半6ヶ月間など)の課税売上高と給与等支払額のいずれもが1,000万円を超える法人・個人事業者
(3)前事業年度の末日までに課税事業者選択届出書を提出している法人・個人事業者(2年間継続適用)
事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内(個人事業者は翌年3月31日まで)に申告書類の提出と納税
※前事業年度の確定消費税額が48万円超400万円以下のときは、当期開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に中間申告が必要となります。